一番草の収穫は、1年間の作業の中でも最も重要な仕事です。なぜなら、それが牛乳の質に最も大きな影響を与えるからです。
切って、乾かし、ロールしてラップする。一連の工程は、天候に大きく左右されます。牧草が、せっかく栄養価の高い状態に育っても、この過程で雨に降られるなどしたら台無しです。今年は、晴れの天気が続かなかったため、例年になく厳しいスケジュールでの作業になりました。
牧草の収穫作業について簡単に説明したいと思います。
1)刈り取り
まず、トラクターの後ろに付いたカッター(モアという機械)で、牧草を切ります。5月初めの牧草は「一番草」と呼ばれ最も栄養価が高いものです。今年は、ここ数年取り組んでいる有機肥料などの効果もあり例年よりたくさん、品質のいい牧草が取れました。写真でも青々と元気に育っているところが分かるでしょうか。
牧草を切る作業は、夜も明けきれないうちから行いますが、それには理由があります。天気のいいときに全てを終わらせなければならないことも一因ですが、早朝に切るほうが牧草の栄養分の放出が少ないためです。せっかく栄養満点に育てた牧草ですからこだわる部分です。
刈り取り作業中
2)水分を飛ばす
その次は、熊手のお化けのようなテッターという機械を使い切った牧草をかき混ぜます。天候にも拠りますが、1日半ほどかかります。繰り返しかき混ぜ、広げたり裏返したりして十分に太陽の光や風に当て、余分な水分を飛ばします。
3)巻き取りとラップ
次いでレーキを使い、一列に集め、ロールベーラーという機械で巻き取って(ロールにして)いきます。そしてできるだけ速やかに、ラップマシンで周囲を巻きラップします。牧草には水分が残っているため、ロールにするとすぐに熱を持ちます。発酵が始まるためです。少しでも早くラップを巻くことが(乳酸)発酵を促進し上質な飼料へとつながります。
これら一連の作業は、すべて天気と時間との戦いになります。この時期は一日中、日の出前から夜中まで、トラクターに乗りっぱなしです。また、合間を見てそれぞれの機械のメンテナンスも欠かすことができません。
この時期は連日、天候を見ながら夜中までの作業が続きます。今年も何とか天気の良いうちに終わりました。家族の協力に感謝です。 |