「うちの牛乳は、どうやって作られているの」ある日、次女が聞いてきました。次女は、牧場の仕事が好きでてお手伝いも良くしてくれるのですが、我が家の牧場から運ばれていった牛乳が、帰って来たときにはきちんと容器に入って製品となって帰ってくることがなんとなく不思議に思えている様子。
「それじゃ、加工所に行ってみる?」と聞くと、すぐに「うん」という大きな返事が返ってきました。
休みに合わせて、長女と次女を連れ、佐賀・鍋島のミルンの工場に行きました。工場までは、家から高速道路を使って1時間半ほどかかります。車中でも、「どんな人がやってるの?」「何人ぐらいで?」と次から次に質問攻めです。「まだ着かんとね」毎回こんなに遠方まで来ていることにも驚いているようでした。
背振山にあるミルンの工場に着くと、皆さんが忙しく作業をしていましたが、一段落した後で作業工程を見せながら順に説明してくれました。子供たちも製品へのタグかけ作業を寒い加工所の中で黙々と手伝ってくれました。
5時間後、作業が終わったと思った最後にサプライズがありました。「自分たちの飲む分は自分でやってみらんね?」工場長の龍田さんが、子供たちに言いました。充填器の中に自宅用に使う最後の数本分だけ残しておいてくれたのです。
充填器の前に座り、ペダルを踏むとタンクから牛乳が出てきます。一滴もこぼさないように目を皿のようにして見つめる長女、手と足のバランスが難しいようです。どうにかこうにか、ゆっくりと容器の中に少しずつ牛乳が満たされていきます。
「できた、これ私の」「飲むのがもったいない」。悪戦苦闘しながら一本が完成しました。皆さんにお届けする分を車に積んだ後、自分で詰めた容器を大事に抱え、加工所を後にしたのでした。
「一本一本手づくりだもん、びっくりした。」帰りの車の中で次女が言いました。「あれを何百本も(作業)するとでしょう、機械じゃないけん、手間がかかるし大変ね」長女が言いました。「手でつめると、一段とおいしいような気がする」「大事に飲まんといかんね」。身近に、そのように思ってくれる人が増えて、とても有意義な一日でした。 |